マルコ水産株式会社

マルコ水産の鮪の解凍方法解説

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解凍方法でこんなに違う?マグロの解凍方法鮪の解凍方法(温塩水解凍方法)について

解凍方法のポイントは大きく2つ!温い水(37度前後)と塩3%の温塩水!!


・塩3%の大切さ。浸透圧が関係します!

マグロもカツオはもとより、海水魚全般に言えることですが、海水の塩分濃度が約3%と言われています。海水魚の体内より、海水の方が塩分濃度が高く、海に住んでいる魚は、そのままだと体から水分が流れ出てしまい、干からびてしまいます。そのため海水魚は水をたくさん飲んで水分を取り入れています。反面、取りすぎた塩分をエラから出して塩分濃度調整をしています。これを繰り返すことで適した環境に適応(浸透圧調整)しています。死んでしまった魚は、海水と体内で塩分濃度の差ができ、浸透圧に差が生じると、圧が低いところのものが、高いところへ流れ、拡散(均一化)する現象が起こります。魚に塩をまぶすと体外へ水分が染み出し、旨みが濃くなる、干物にする等の調理法に利用されている現象ですね。

この現象は解凍する際のマグロにも同じことで、海水状態でより体内外のバランスが取れるように身質が保たれていたマグロは、水(浸透圧低(0))で解凍すると身(浸透圧高)に水が取り込まれ、細胞が膨張し破壊されるため、体内成分が流出していきます。(血液成分の赤血球が真水に触れると、細胞内部へ浸透した水の圧力により赤血球が破壊される(溶血)が起こります。)流出=ドリップですので、鮪本来の味や旨みが解凍水に流れ出てしまうんですね。

この現象を起こさないために海水と同じ塩水(浸透圧同じ)にすることで、鮪(浸透圧同じ)からの成分の流出を少なくすることが解凍することができるわけです。



マルコ水産のこばなし(鮪の解凍に最も適しているのは温塩水という理由)・37度前後の温水がよい理由。

塩3%に加え、これに37℃前後のぬるま湯を利用することで、マグロ本来のおいしさを損なうことなく解凍できることをご紹介します。 まずは、そもそも鮪の赤色は何?っというところからはじめましょう。赤色の正体は、血液中のミオグロビンという筋肉色素と血色素ヘモグロビンです。マグロは、漁獲時に血抜きや内臓を処理することでほとんどのヘモグロビンが体外から排出されるため、赤色組織の大部分がミオグロビンとなっています。 このミオグロビンがマグロの赤身の色変化を引き起こします。

漁獲され、冷凍されたマグロを解体していくと切断面がやや暗い紫から赤い色をしています。これは、マグロの部位が空気に触れていなかった(死んで酸素が足りなくなった)為、ミオグロビンとして存在している為です。切断面は、空気に触れることでやがて酸素と結合し、オキシミオグロビンに変化(生成)します。このオキシミオグロビンが美しい鮮やかな赤色に発色するわけです。しかし、そのままさらに時間が経過すると今度は酸化をおこし、オキシミオグロビンからメトミオグロビンになってしまうため、鮮やかな赤色が褐色や黒褐色になってしまいます。 この現象は、メト化と呼ばれています。
ミオグロビンがオキシミオグロビンになりメトミオグロビンになるのは酸化とメト化の劣化影響がある














一連の現象で、【暗紫赤色】⇒【鮮赤色】⇒【暗褐色】と、鮪の赤みの部分が変化していきます。 では、この色の悪いメト化状態をいかに抑えるかがじゅうようになってくるわけですが、実はメト化が起こりやすいと言われている温度帯があります! それが-5~0℃の温度帯と呼ばれており、この温度帯を鮪の魔の温度帯と言われています。この温度帯を早く切り抜けるにはどうしたらよいか…?答えは、水より温い水の方が早く解凍(通り抜けることが)できるということなんです。

水や冷蔵庫で徐々に温度を上げることは、この温度帯に長くいることにつながってしまうので、やや温度の高い温水で一気に突破(5℃以上にする)してしまおうということです。これ以上温かいお湯になると熱が伝わりすぎてタンパク質が変性し、白くなりますので注意してください。あくまで人の体温くらいがちょうどよいと思います!



マルコ水産のこばなし(鮪の解凍方法について)上記を踏まえてマグロの解凍方法解説(カツオも一緒です。)

 では、以上を踏まえて解凍していきます。

用意するのは、①解凍する魚、②温塩水(37度くらい、塩3%程度)を入れた容器、③清潔な布巾(化学雑巾・ペーパータオルでもOK)です。 まず、表面についている切粉(【きりこ】と呼ばれるもので、カットの際に付着する鮪肉のカスです。)を軽く洗い流します。


鮪の流水解凍について,切粉除去や表面の洗浄

















流した後、温塩水に付け、表面がほんの少し柔らかくなるまで手で軽く擦り洗いするのが良いでしょう。目安は大きさにもよりますが、30秒~1分位でしょうか。柔らかくなりすぎないようにして下さい!!内部は凍ったままで良いです。

※温塩水が熱すぎるとタンパク質が変性し、白くなりますので、注意してください!


鮪の温塩水解凍方法について
















温塩水から出して水気を取ります。清潔な水を付け硬く絞った濡れ布巾でかるく叩いて取ります。
※擦らないように! 水で洗わなくてもOKです。
濡れ布巾を被せ、冷蔵庫(下段)にて食べるまで解凍します。(小さいサクは20~30分、大きいブロックで1~2時間でOK)
※布巾を少し濡らすのは表面を乾燥させないためです。また、貼りつくことがありますので、破れないものを使用しましょう。(キッチンペーパー、濡れ布巾、化学雑巾等。ティッシュペーパーは×)






鮪の温塩水解凍後の保管方法
















食べる頃には半解凍状態(シャーベット状)になっていますので、お好みのサイズに切ってお召し上がり下さい。(筋目に垂直に切ると良いです!)食べる直前に切ることが大事です!(中はまだ暗い色をしていますが、そのうち明るい赤色に発色します。)

今までと違って鮮やかで短時間で解凍でき、いつもより美味しいマグロがご賞味いただけると思います。ぜひ実践してみましょう!


鮪の解凍方法,筋目に沿って切ると良い