マグロも世界中で獲られているが、種類によって棲み分けがあるらしい!?
カツオに続き、マグロはどこからくるの??っという疑問。
代表的なマグロは数種類おり、大きさや形、色や値段など様々。1匹の鮪から採れる部位によっても値段や味が個々に楽しめる、われわれ日本人には、とても馴染み深い魚なんですね。
今回は主に日本で取引量が多い クロマグロ・ミナミマグロ・メバチマグロ・キハダマグロ・ビンナガマグロをピックアップします。(他には、世界最大のタイセイヨウクロマグロや名前の似ているタイセイヨウマグロ、マグロ類では最小のコシナガ等がいますが、今回は割愛します。また、マカジキ・メカジキといった’カジキマグロ’は、厳密にはマグロ類ではないので省きます。同様にイソマグロも同じく別の種類です。)
では、マグロ編の世界地図に注目してみましょう。
クロマグロ(黒鮪:体長3~4m、300~400kg)は、 目が黒いことから【眼黒(まぐろ)】、背が黒い為、上(海面)から見ると真黒な小山に見えることから【真黒(まぐろ)】とも呼ばれる説があります。マグロの中のマグロ…という意味で、別名、ホンマグロ(本鮪)とも呼ばれるようになったとか…?(参照:→マグロ・カツオの歴史)
クロマグロは、日本近海やヨーロッパ沿岸、地中海、アメリカ西海岸といった北半球に多く生息している大型マグロで、南半球にはほとんど生息していないようです。 また、太平洋の熱帯~温帯海域の比較的暖かい地域に分布しており、稀にインド洋にもいるらしいです。群れを成し、高速で回遊しており、時速は70~100㎞/hにも達するとのことで、暖流に乗って日本沿岸を北上します。一部はアメリカ西海岸に横断するようです。成魚になるにつれ、移動が季節的な南北移動の繰り返しをするようになり、餌を求めて冬場の日本沿岸にくる有名な大間の鮪は、最高級ブランド品となっており、ご祝儀相場で1匹1億円を超えたと言うとんでもない記録もたたき出しています。
ミナミマグロ(南鮪:体長約2m、約250kg)は、クロマグロとも引けを取らない高級魚。別名、インドマグロ(印度鮪)。インド洋で良く漁獲されることからそう呼ばれています。クロマグロより小型(中型マグロ)ですが、味はクロマグロにも匹敵するほどで、身質に脂がのって大トロが採れる魚種でもあります。(大トロは、クロマグロとミナミマグロしか取れないと言われています) 別名が物語るようにインド洋に多く生息し、アフリカ大陸の南端、ケープタウン沖やオーストラリア・ニュージーランド沖でも獲れます。クロマグロと対照的に南半球のみにしか生息していない模様。日本では、ややクロマグロより安価であることから人気で、クロマグロに次ぐ高級品として珍重されています。
メバチ(目鉢:体長2.5m、約200kg)は、日本ではメバチマグロ(目鉢鮪)、バチマグロ(鉢鮪)と呼ばれることが多く、目が大きいことが名前の由来。全世界の熱帯・温帯に広く分布する中型マグロで、キハダマグロと同じ範囲にいることが多いようです。赤道から南北に緯度35度程度に分布しており、地中海や日本海などにはいない模様。トロ部分があり、身が柔らかい為、キハダマグロより高級魚であり、漁獲量もキハダに次ぐ漁獲量の為、高すぎない程よい価格(?)であることも人気の一つであります。
キハダ(黄肌:体長約2.4~3m、約200kg)は、日本ではキハダマグロ(黄肌鮪、木肌鮪)、キワダとも呼ばれています。体色が黄色であることから黄肌とも言われていますが、実際は鰭(ヒレ=ハタ)が黄色いことからの由来と言われています。 全世界の熱帯・亜熱帯海域に広く分布する中型のマグロで、季節的な南北回遊をします。メバチ同様、地中海にはおらず、日本海にも稀にしかいない模様。カツオやメバチと混泳することがあるほど、一緒に漁獲されることがあるようです。 マグロ類では最も多く漁獲され、身質も赤身が占めており脂っこくない為、鮪では安価な部類に入り、ツナ缶や大衆向けの刺身として好まれます。
ビンナガ(鬢長:体長約1~1.4m、約60kg)は、日本ではビンチョウ、ビンチョウマグロと呼ばれることが多いですが、トンボマグロとも呼ばれます。正面から見ると胸鰭がもみあげ(=びん)に見立てられることから、また、トンボの翅に見立てられること等からそう呼ばれるようになったようです。 全世界の熱帯・温帯海域に分布する小型のマグロで、日本海には稀にいるようですが、地中海には普通に生息しています。 多くは50cm~100cmくらいと、鰹と同じくらいのサイズで漁獲されることが多く、そのためか、味がタンパクであることがしばしば。身質は赤身ですが、白に近いピンク色で非常に柔らかく、タンパクなため、缶詰利用が多く、また、欧米では鶏肉に似た食感からシーチキンとも名づけられていたりもしています。特に脂のないビンナガは、”ガリトン”(ガリガリで脂が無い)と呼ばれ、安価な商材としてニーズがあり、一方、脂ののった個体は”ビントロ”と呼ばれ、とても美味しいことから一種の寿司ダネのブランドとして重宝されています。
どのマグロも特徴があり味わい深く、また、違う美味しさがあると思います。ニーズに沿ったブランドがあり、まるでマグロの生息地の棲み分けのような需要と供給があるのかもしれません。(※各マグロの体長は最長、重量は最大でそれくらいの数値になるようです。)